ALSは、国が指定する難病の一つで、原因不明、したがって治療法もない病気だった。
ブラックホールの研究で有名なホーキング博士も、ALSだった。
ALSになると、最後には人工呼吸器をつけて、24時間体制で入院することになる。人工呼吸器をつけたら、もう声を発することはできない。
瞬きや息などを使ってパソコンにつないだ文字盤で意思を伝える。体中の筋肉細胞の一つ一つが萎縮するので、体を動かすことができなくなるが、頭脳はまったく正常のまま。意識や思考は正常なのに、それを伝えることが非常に困難になる。とてもつらい病気だ。
いっそのこと脳が変になり、自覚がなくなれば、本人だけでも苦しみは減るのではと思う。その場合、周りがもっと大変になってしまうのかもしれないが。
3万人に一人、という患者の少なさから、治療法の研究がなかなか進まないらしい。ALS患者が集まり、声をだしていこう、という趣旨の会だった。
ALS設立総会から帰ってきて、義父母へ出した手紙の下書きが残っている。東京行きの一部始終を詳しく書いていた。長い手紙だが、善一さんの様子がよくわかるので抜粋してみる。