千春の苛立ちに気圧され、足早に家路に就いた。終始私を置いて行こうとする気概があったが、負けじと後をつけた。

千春は大きな音を立てて鍵を閉めた。そして私を睨む。彼の目には憤怒の色が浮かび上がっている。私は怒っている理由が分からずに、ただ俯くのみだった。

私は何度か千春の名を呼ぶ。でも彼は意に返さず、私の腕を引っ張る。

引かれた腕は熱を帯びた。粗雑に扱われてもどこか期待しているのだから、どうしようもない。

千春は目を逸らしながら呟いた。

「やっぱする」

「いいよ」

折角着た服はゆっくり脱がされ、力無く床に落ちる。

アイスを買ったことなんか忘れて、互いの瞳に溺れた。

「にんにく臭い」

「悪かったな」

私たちは溶ける様にベッドに沈んだ。

 

雫、凄いな。この高校、進学校じゃん

千春はここで良いんじゃない?

ここ名前書ければ入れるとこだろ。ヤダ。やっぱ、本読んでる奴は違うなー。

千春も読む? 私の最近のお気に入り

俺、活字アレルギーなんだわ

じゃあ諦めて

俺も一緒の高校行けるように頑張る

じゃあ、一緒に行こう

追いつくから、待ってて

次回更新は8月18日(月)、20時の予定です。

 

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