ビッグストーンにて
待ちに待った満月の日である。夕日が落ちて、薄暗くなったころ、ウーマはビッグストーンのほうに足を急ぐ。誰かがいるようだ。そう、シモンがすでにビッグストーンに来ていた。
「待っていたよ、ウーマ。僕は、夕日が落ちるのを見ながら、ここで待っていたよ。そして、なぜ、自分がここに来たのか考えていたんだ」と、シモン。
「私も、前回の満月の時から一カ月、ずーっと、考えてきたわよ。どんなに考えてもわからなかったけど、ここに来たらわかるような気がして、あなたの言う通り、ここに来たのよ」とウーマ。
「僕たち、どうして指輪や王冠をしているんだろう?」
「そして、二人だけしか見えないのってどうしてなんだろう?」とシモン。
「きっと、今夜、すべてがわかるわよ」とウーマ。
二人は、ビッグストーンの前で、いろんなことを話している。
そうしているうちに、時間が過ぎていく。あたりが静かな中で、満月の光だけが、あたりをしっかりと照らしている。どこからともなく、ゴーッという竜巻のような音がする。いったい何だろうと、二人がたたずんでいると、ビッグストーンのところが、煙のようなもので一瞬見えなくなってしまう。