明日の土曜日午後二時、全国高校サッカー広島県予選決勝戦がキック・オフになる。
これは高校生活の総決算などと過去形で捉えるイベントではなく、恭平の人生を左右する未来への挑戦だ!などと妙に力むこともないけれど、それでもやはり、ついつい身体に力が入ってしまう。
その理由を時系列に説明すると、明日の試合に勝てば待望の全国大会に出場できる!
全国大会に出場すれば必然的に多くの人が恭平のプレーを見てくれるはず!
多くの人の中には、きっと大学サッカー関係者もいるはず!
恭平のプレーが目に留まれば、多少は名の知れた大学からも誘いの声が掛るはず!
声が掛れば、幾分か有利な条件で受験に臨むことができるはず!
受験に有利な条件がそろえば、来春は何処かの大学でサッカーができるはず!
独り善がりなストーリーが展開する。実際のところ、現在の成績では地元の私学合格が精一杯と言われている恭平は、幾つかの都合の良い「はず!」をクリアしなければ浪人は必至の情勢だった。
だから、明日の決勝戦は何が何でも勝たなければ、大学合格が覚束ない。