薔薇の花束の誕生日会
11月の最初の日曜日が真由子58歳の誕生日だ。流星にその日は長い時間会えるように18時から8時間ロングで予約を入れた。
その数日前になり、仲良しの横浜のカオルも真由子は誕生日会に来て欲しくなった。カオルのギャラもあるが、記念すべき誕生日会にする為、出費は惜しくない。さっそくカオルにLINEでスケジュールを確認すると、
『日曜日? えっとこの日は、横浜、千葉、そしてまた横浜とハードスケジュールではあるんだけど……いや真由子ちゃんの為なら。流星にも会いたいし。月曜日の仕事のために日曜は早く上がる予定にしてたから、それ終わりで新宿のホテルに駆けつけるよ』
カオルは、真由子の頼みを忙しいスケジュールなのに快諾してくれた。これでトリプルレイ3人でまた集合出来る。真由子は、毎日ドキドキしながら、その日が来るのを待っていた。流星には真由子の方から、今までの人生で好きな男性にやって貰いたかったことを、思い切って頼んでみることにした。
『流星くん、私のお誕生日会、横浜のカオルくんも、他のお客様入ってるから遅くなるけど、終わったら新宿来てくれるって』
『それは良かった。また3人で会えるの、めっちゃ楽しみだよー』
『それで流星くんに私、お願いがあるの。薔薇の花束をね、私にプレゼントして欲しいの。私、男性から今まで一度もプレゼントされた事がなくて、憧れてるんだ……流星くんみたいなイケメンが、薔薇の花束抱えて待ち合わせ場所に来たら、凄く素敵でしょう? もう映画みたいだな……って想像しちゃってうっとりするわ』
『薔薇の花束かぁ……いくらくらいになるんだろう……分かったよ』
『わーい、絶対お願いね、本当に凄い楽しみだよー』
『オッケー!!』
いよいよ誕生日の日曜日が来た。
誕生日会をやるホテルは女子会パーティーにも最近は使われる有名なホテルにした。夕方になり自宅のある湘南からJRで向かう。
夕方18時に新宿中央西口改札前にある真由子の大好きな電子ウォールの前で、いよいよ流星くんとの待ち合わせだ。
(あの極上のイケメン流星くんが、私の為にどんな薔薇の花束を買って来てくれるんだろうか……真紅の薔薇かしらん……) 24歳のキラキラした流星が、薔薇の花束を腕に抱えて待ち合わせ場所に登場する事を考えただけで、真由子はワクワク、ドキドキが止まらない。