D道路舗装・造園業・売上低下と経費増
“道路舗装という公共事業削減下の代表的な不況業種にあって、造園事業を新規に立ち上げ、環境の変化にうまく対応して生き残った小企業の事例”です。その再生のプロセスを紹介します。
2008年4月に支援の要請を受けました。社長の要請の主旨は、
①道路舗装の売上高回復はどうすればよいか。
営業は、5%値引きすれば売上は伸びると言うが、どのように対処すべきか。
②道路舗装部門の売上減に対処すべく、ガーデニング部門を新規に立ち上げたが中々軌道に乗らない。どうすればよいか。
というものでした。
1、「行動目標を設定する」が社長を動かした
当時D社は、創業7年目を迎えていましたが、過去3年で売上が2億円から4億円(第5期)に倍増したものの、前年の2007年6月期(第6期)には公共事業投資削減の影響を受けて、1年で3億円に激減していました。
社長は、本来意欲的な方とお見受けしましたが、環境の激変にさすがに元気がなく、「正直言って自信をなくしました」と言っておられました。
第6期も経営内容は厳しく、道路部門だけでは会社が存続し得ないと考えられて、前年10月に新規にガーデニング部門を立ち上げられました。最終的にはこの決断が会社を存続させることになったのですが、このガーデニング部門が当時半年経過しても中々軌道に乗らず、増員による人件費負担が重くのしかかって経営を圧迫していたのです。
2008年4月に初めて社長と面談したのですが、その時概略次のような提案をしました。
・売上のノルマを思い切って廃止する
・売上を伸ばすために何をなすべきか、いわゆる「行動目標」を設定して、それを全社員で着実に実行する
・他社以上に努力すれば結果がついてくると信じて努力することが肝要
社長は、売り上げ目標に代えて“行動目標を設定する”という点に、共感を覚えられ、又希望をもたれたようでした。そのようにして、D社の支援が始まりました。
2、第1回目(4月25日)訪問、社員8名から意見聴取、現状を把握する
「社長に改めて支援の進め方を説明し、全社員8名に会社を強化するための提案・意見を聞きました。
社員インタビューで得た主な情報は次の通りでした。
・前にいた会社ではガーデニング部門の売上が1年で2千万円から2億円になった。これはインターネットによる営業の成果だった
・会社のガーデニングの展示場を、お客様が入りやすいように改善したい。改善の余地は沢山ある
・ガーデニングの売上高総利益率は、概ね道路部門の3倍である。但し、売上高は9分の1で、未だ軌道に乗っていない
・在庫のムダ、時間のムダが多い
最後に、社長とその後の予定を概ね次の通り打ち合わせて、第1回目の訪問を終えました。
1、基本方針:ガーデニング部門を早期に軌道に乗せ、経営を再建する
2、経営再建に有効な目標を1~2件設定する(後日、社長に案を持参願って協議する)
3、それに基づいてアクションプランを作成する