二人はその足で海へ向かった。
「海って暑いのかしら、寒いのかしら」青いワンピースに身を包んだアンナが言う。
「まだ六月だろ、そこまで暑くはない筈だよ」
「そうなの?」
「そうだよ」
「じゃあ日焼け止めは?」
「焼けても良いじゃないか」
「嫌よ」
「何故だい」
「焼けると熊さんみたいになるからよ」
「素敵な事だよ。熊さんみたいに大きくなるのは」
「違うわ。肌の色よ」
二人は笑った。そうして海へ着いた。
「私、海が好き」アンナが言った。
「僕もかな」僕が応える。
「海って綺麗で大きくて、知らない生物がいっぱい住んでいるの」
「僕は海の生物は嫌いなんだ。良く分からない構造をしているから」
「せっかく海に来たんだから、私に愛の言葉を囁きなさいよ」
「愛してるよ、アンナ」
接吻した。
「お腹がすいたわ」
「そうだね、ご飯でも食べようか」
「あすこ、開いてるかしら」
「まだ開いてないんじゃないかな。見てみようか」
二人が寄った海の家は六月だと言うのに開いていた。
このビーチの波を求めるサーファーが多いらしく、そのために寒季以外開けているらしい。
「なかなか綺麗だね」店内を見回して僕が言う。
「そうね、あのカメの骨大きいわね」アンナが言う。
「あれはオサガメって言うカメの骨さ、海の家やサーフショップには好く置いてあるんだ」
「恐竜からの進化なのかしら」
「良く分からないよ。それより、何食べる?」
「私、このブルーベリーのパンケーキが良いわ。美味しそう!」アンナが、メニューを指さして言った。
「そっか、じゃあ僕も食べてみるかな」
二人は同じパンケーキを頼み、その味を楽しんだ。
「美味しかったね」
「そうね」
「帰ろうか」
「はい」
二人は家路に就いた。
青のワンピースは海と重なって、一つとなった様だった。
また、太陽に映えた。