ジョージが、シングルモルト・ウィスキーに浸る丸い氷を、指でつつく。

「あちこちで〈創造性〉が言われはじめたのは、イノベーションとセットだったかな。いままで通りの業務改善をつないでいくだけでは、第四次産業革命から取り残されてしまう。

これからは、イノベーション、そのためには創造性だ……でも、学びのブームは、いつの間にか冷えちゃったんです。イノベーションを勉強しても、イノベーターになれないことがわかってしまい。

ボクの仕事周辺では、創造性マターは、教育ではなく、実務的な開発プロジェクトに置き換わったような気がしますが……でも、それでいいのかな? そんなにビシバシ、いいアイデアが現場で量産できるのかな?」

「イノベーションや創造性は、学んですぐに能力が変わる領域ではないからね。現場は明日から使える実務ノウハウを欲しがるし、そうすると育成部門は、即効性のあるプログラムを優先する。

ウチもこれまで、ラテラル・シンキング、クリティカル・シンキング、デザイン・シンキングとか、目ぼしいワークショップはさまざま提供してきたよ。

ただ、発想や創造性は、どうも余芸というか本質的なスキルではないように思われがちで、根づかない……しぼんでしまうんだ」

次回更新は7月16日(水)、11時の予定です。

 

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