ジョージが、シングルモルト・ウィスキーに浸る丸い氷を、指でつつく。
「あちこちで〈創造性〉が言われはじめたのは、イノベーションとセットだったかな。いままで通りの業務改善をつないでいくだけでは、第四次産業革命から取り残されてしまう。
これからは、イノベーション、そのためには創造性だ……でも、学びのブームは、いつの間にか冷えちゃったんです。イノベーションを勉強しても、イノベーターになれないことがわかってしまい。
ボクの仕事周辺では、創造性マターは、教育ではなく、実務的な開発プロジェクトに置き換わったような気がしますが……でも、それでいいのかな? そんなにビシバシ、いいアイデアが現場で量産できるのかな?」
「イノベーションや創造性は、学んですぐに能力が変わる領域ではないからね。現場は明日から使える実務ノウハウを欲しがるし、そうすると育成部門は、即効性のあるプログラムを優先する。
ウチもこれまで、ラテラル・シンキング、クリティカル・シンキング、デザイン・シンキングとか、目ぼしいワークショップはさまざま提供してきたよ。
ただ、発想や創造性は、どうも余芸というか本質的なスキルではないように思われがちで、根づかない……しぼんでしまうんだ」
次回更新は7月16日(水)、11時の予定です。
👉『これからの「優秀」って、なんだろう?』連載記事一覧はこちら
【イチオシ記事】「浮気とかしないの?」「試してみますか?」冗談で言ったつもりだったがその後オトコとオンナになった
【注目記事】そっと乱れた毛布を直し、「午後4時38分に亡くなられました」と家族に低い声で告げ、一歩下がって手を合わせ頭を垂たれた