「ごめんログ。大変な思いしてここまで来たのに……」

「謝んな。旅してればこんなこと日常茶飯事だ。逆に、お前がスムーズに進めてたのが奇跡だったってだけで、これが普通なんだ。だから責任とか、そういう風に感じるのはやめろ」

いつも通り上から目線で励ましてくる。ログは多分、人を励ますってことに慣れていないのだろう。こういう時は、「大丈夫だよ」とかそういう言葉が欲しいのだが、まぁ本人は本人でこれが精一杯なんだろう。

「ありがと、ログ」

「え? あぁ……」

どうやらログはなんで自分が感謝されるのかわからないのか、笑顔を向けてきたティーナをきょとんとした顔で見つめた。もしかしたらさっき自分に言った言葉は励ましでもなんでもなく、ただ思ったことを口にしただけかもしれないなと考え、思わずティーナは笑ってしまった。

「なんで笑うんだよ」

「いや、ログって天然なのかなぁって」

「え? 天然……俺、多分どっちかっていうと人工だぞ?」

「そういうとこ! あっそういえば『天然』の意味知らないんだっけ? じゃあ人工発言も納得か……ただのお人好しだね」

「……? あ、そっちの『天然』かよ。俺は天然じゃねえよ!」

「人工だっけ?」

「違うわ。いやまぁ違くないけど。さあ、とりあえずUターンだ」

ログが若干天然気味だということが判明し、ティーナの気分もかなり晴れていた。ログはジャストタイミングでUターンを開始した。

「あれ?」

一瞬、ティーナは誰かに見られているような視線を感じて、立ち止まった。

「どうした?」

「いや、なんか……ううん。なんでもない」