「また会ったね、光の子よ?」
「かける君かい?」
「違うよお兄ちゃん。かけるという子はもう死んだんだよ。僕はもうかけるじゃないよ」
かけるはそう言うと不敵に笑った。
「じゃあ、いったい誰なんだい? 君はどこの誰でここへ何しに来たのかな?」
「よく聞いてくれたね、光の子よ。僕は闇の帝王。闇の頂点に君臨しその闇を統(す)べるもの。光を全て飲み込み、世界を闇で覆う」
言葉の一言が殺気を帯びてくる。
「くっくっくお兄ちゃん。いや、光ある者よ。僕たちと反対側にいる者よ。お兄ちゃんの力で人間を殺すことに抵抗はないかな? 見てよお兄ちゃん。この男は悪い奴だ。お兄ちゃん、この男の写真を見ながら『死ね』って念じて。
そうしたら僕がその思念を具現化してこの男の生命力を奪うよ。やってみてお兄ちゃん。僕は世界を闇で覆い支配するだけだ。人間は勝手に環境を汚し破壊し資源を浪費し都合よく生きてのうのうとしている。それが僕たち悪魔にとって害悪だからね。分かるかい?」
かけるが一人の男性の顔を示して言った。英良は黙っていた。
「人間が勝手に決めた法律に従っている限り自分は正しい人間だと思い込んでいるんだ」
それで? と英良は内心思う。
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