その神々の一人、付喪神(つくもがみ)が既に幼子の動きに警戒しております。幼子の強大な力は自然界に対しても干渉するほどの強い力、予測できない、説明もつかない偶発的な自然現象は幼子の力の干渉とお考えくだされ。
幼子に対する慈悲や慈愛はもう不要かと存じます。英良様の他者に対する慈しみは自分を後退させる心の短所かと思われますぞ! 改心が叶わない者、特に大きな悪意に対しては斬り捨てる所存で対応してくだされ! それをお願いいたす英良様」
分かった、と英良は答えその心づもりで対応することも伝えた後、毘沙門天は英良の視界から消えていった。
英良は深い眠りに就いた。何かに捕らわれ下方へ吸い込まれていくようだ。気分が悪い。身体全体が押しつぶされるようで息が苦しい。
一筋の霞か煙草の煙のようなものが部屋の中に入ってきた。良くないものであることは瞬間的に分かった。
その白いものは横へ真っすぐ伸びていき、上へ昇っていくと天井辺りで曲がり円を描くように形を変えようとする。始めは丸い円形だったものが形を整え具現化してきた。
人だ、と英良は認識した。幽霊だとしたら? 英良は生まれて初めて幽霊と遭遇する。その人型は段々はっきりと形を現した。
小さな男の子のようだ。その子は英良に話しかけた。