「明日になったら、駅に身を隠して、少したったら帰って」
「え?」
いまいち言っていることが理解できず、どういうことか、と聞こうとした時、オレンジ色に染まっていく視界と空から聞こえる轟音で動きを止めた。空を見上げると、そこには自分たちに向かってくる巨大な物体があった。
「え? な、なにあれ」
その物体は先端がとがっていて、煙と火を出して自分たちのほうへ全速力で向かってきた。
あんなの、見たことない。
生き物? いや、違う。
……機械?
昔ナギサから教えてもらった。「機械」というのは人類が作った燃料を糧にして動くもので、人類の生活は機械に支えられていた。
ナギサも、「機械」らしい。
そうだ、確かあの機械の名前は……
(ロケット!)
「ナギサ! 逃げないと!」
「……」
「ねぇナギサ!」
何度言ってもナギサはティーナを無視する。
ロケットが近づくにつれて、どんどんと焦りは大きくなっていき、涙も浮かんできた。
「ねぇってば!」
無視をするナギサに怒りも覚え始めて、半ば強引に連れて行こうと手を引っ張った時、ナギサはようやく口を開いた。
「……ティーナ」
「えっ?」
ナギサは、くしゃっと顔を緩めて、満面の笑みで言った。
「生きて」
ドォンッ!!