真由子は流星の膝の間に入って流星にもたれ掛かった。そして2人は何度も唇を重ね合ったが、それ以上エスカレートしないように後ろから流星に抱えるように抱きしめて貰って過ごした。

真由子57歳、流星24歳、それなのに流星には、素直にがっつりと甘えられる……不思議な感覚だ。でも2人の間では、ごく自然とそうなるのだった。

その次の日曜日の夕方、真由子は新宿店で5時間のロングで予約していた。店舗で5時間はかなり長い予約だ。真由子と流星は、だいぶ親しくなって甘々な過ごし方も充分出来るので5時間のロング予約もすんなり取れる。

真由子は、既に流星のお得意様客へとしっかりと育っていたのだ。西新宿にある店舗の入ったきれいなマンションに着いてチャイムを押すと、中から流星が現れて素敵な笑顔で迎えてくれた。

「こんばんは真由子さん、ゆっくり今夜は過ごしましょう。楽しみだなぁ」

「はい、お願いします」渋谷店より新宿店は少し狭めだが、キレイだ。部屋の中でいつものアロマ音楽が再生されていたが、ふと流星が聞いてきた。

「真由子さん、ジブリ映画『ハウルの動く城』のテーマ曲好きだったですよね〜、流しましょうか?」

「あっいいの? スマホで出来るんだ。聴きたいわー、お願いしていい?」

部屋に、「人生のメリーゴーランド」が、流れ始めた。真由子と流星は、立って向かいあって社交ダンスの組みポーズをした。

「俺、母方のお婆ちゃんが社交ダンス習ってたから、中学生の時1年間一緒に社交ダンス習いに行ったんですよー毎週……だから少し踊れますよ」

意外というか、でも育ちが悪くなさそうで王子様感ある流星には、社交ダンスは合っている気がした。そんなにスペースが広くない場所で、しかもフローリングではない床だと滑らないので踊りにくいのだが、真由子と流星は、社交ダンスぽい舞を繰り広げる。

流星が真由子の指を使って上手に回転させたりした。まるでハウルとソフィーやヨーロッパの貴族の気分だ。プリンセス好きな真由子は、流星のリードにうっとりしていた。

流星の左耳に揺れる十字架のピアスが素敵だ。アロママッサージをゆっくり2時間かけてした後、残り2時間、流星と真由子は向かい合って寝て、ずっと抱きしめ合う……。真由子のこれまでの人生で、男性からこんなに長い時間、抱きしめて貰うなんて事は、一度もなかった。

流星が言う。

「俺、ハグ好きなんですよー特に真由子さんとのハグは、特別ですから……」

「本当に……嬉しい……」

次回更新は6月23日(月)、18時の予定です。

 

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