【前回記事を読む】【ビジネス書×フィクション!?】AIと協働する時代、働く不安と期待を抱える私達と同じ目線の会話劇…私達は一体何を学ぶべき?
第一章 知覚センサー、機能不全
「マスタークラスって、修士課程なのかな?」
「しあわせの論文を書くの?」
「おお、サウナを教室にしているぞ」
「それだけで充分、しあわせそうだよ」
「世界中から10人募集だって」
「たぶん人数は、サウナのサイズで決めたんだ」
「しあわせって、誰も教えてくれなかった」
「うまくなるなら、教わりたいよ」
Keiさんが、瓶ビールを自分の小グラスに注ぎながら、みんなに話しかける。
「……しあわせかぁ。いま、会社で揉んでいるんだけどさ、〈創造性〉っていうのも、ふつうの学校じゃ科目にないよね……どうやって学びをつくればいいんだかなぁ」
ネイビーが、獲物を嗅ぎつけたかのように、すーっと会話に寄ってきた。
「それな。どこの会社も〈創造性〉って言うけれど、おれにはどうも、本気で取っ組み合っているように感じないんだ」
今夜のみんなの集合地点が、浮かび上がった。
Keiさんは、3年前の年明け、〈創造性〉案件のはじまりを思い返す。プライベート・ブランド飲料の開発を仕切っていたある日、和田常務から呼ばれた。
「ウチの人財育成を頼みたい」