第1章 遺産分割(石塚大介弁護士)

1 遺産分割総論

(1)    人が死亡したときの遺産について

民法第882条は、「相続は、死亡によって開始する」と定めています。ここでは、亡くなった人のことを「被相続人」、遺産を相続する人を「相続人」といいます。

相続が開始されれば、原則として、被相続人の遺産を相続人が相続します。遺産の相続の仕方として、被相続人が生前に遺言書を残している場合と、遺言書が作成されていない場合に遺産について相続人で協議して分割する方法があります。

被相続人が遺言書を残しているような場合には、第2章の「遺言」をご確認ください。ここでは、被相続人が遺言書を作成しないまま亡くなった場合や、遺言書の記載の仕方から相続人で遺産をどのように分けるか協議をする必要がある場合について説明します。

(2)    遺産について確認することの流れ

被相続人が死亡した後、被相続人の遺産について確認することは、被相続人が遺言書を残していないかどうかを調査することです。

被相続人が生前に遺言書を作成したとのお話を聴いたことがある場合や遺言書を預かった相続人がいるような場合です。

遺言書が出てきた場合には、公正証書遺言又は法務局(遺言保管所)で保管された自筆証書遺言以外は家庭裁判所で検認手続を経る必要がありますので、ご自身で開封することのないよう気を付けてください。

検認手続を経ずにご自身で開封してしまうと、法律上は5万円以下の過料が科される可能性があります。