第三章 不安と親友の存在

月曜日夕方、美樹に電話するが出ない。

「ん?」

八時過ぎ、出ない。……又、不安が過る。

火曜日夕方、出ない。八時過ぎ、ようやく出た。

「どうして電話に出てくれないんだ!」

『ごめんなさい。涼真君といると、幸せすぎて不安になるの。だけど会いたいの。抱いて欲しいの。一人で生きてきた私はあなたに身を委ねる事に抵抗があるのよ』

「どうして甘えてくれない。いや、甘えて欲しい。これ以上僕を怖がらせないで」

『もう少し、考える時間が欲しいの。あなたを愛して、やきもちや束縛するんじゃないかと心配なの。もうちょっとだけ待って。私もしっかり考えるから』

「考えないといけない事なんだ。それぐらいしか僕の事を愛していないんだ。僕は美樹がいない事が考えられないのに……」

『ごめんなさい……』

悔しくて電話を切った。寂しい! どうすればいいか分からない。追いかけても、追いかけても手を払う。心が痛い。

毎日、忙しく仕事をした。時間ができるのが怖かった。頭の隙間に美樹が入ってくる。くたくたになるまで残業をして、隙間を作らないようにした。

それからしばらくして……悲しくて辛くて、圭司に会いたい……。

僕が辛い時、嬉しい時会いたくなる親友。長い付き合いだなぁ。幼稚園から大学まで一緒で、いい距離感だ。お互い必要な時に連絡する。信頼できる奴だ。最近は、そこそこに売れ出した作家だ。