A:2型は生活習慣の乱れでゆっくり発症するのは何となく分かるのですが、急に発症する1型は何が原因で起こるのでしょうか? 

M:1型を発症する原因は複数あり、まだ十分に解明されていません。有名なのは風邪ウイルスとの関連で、風邪を引いたあとに体調がなかなか回復せず、喉が渇いてトイレが近くなったので病院に行ったら1型を発症していた……という経過です。

A:普通は、風邪の治りが悪いくらいしか思わないかもしれませんね。風邪との関連性、覚えておきます。1型はインスリンがつくれなくなる病気とのことですが、そうなるとかなりの高血糖になりそうな気がします。どのような治療をするのでしょうか? 

M:1型の基本治療はインスリンの補充です。膵臓がインスリンをつくれなくなった分、外から補充してあげるわけですね。1型の患者さんは全員でインスリン注射を開始します。

A:インスリンは注射だから大変な治療ですね……。針を毎回刺すストレスも大きいはず……。

M:インスリンは経鼻投与や経皮投与など研究が進んでいますので、将来的には注射ではなくなる可能性がありますよ。最近は週1回タイプのインスリンの治験が始まっていますので、今後の技術の進歩を期待したいですね! 

A:かつて1型は命を落とす病気だったと習いましたが、現在はどうなのでしょうか? 

M:インスリンが製品化された現在では、1型の方も健康な人と変わらない生活を送ることができるようになりました。1型で一流のスポーツ選手になっている方や、50年以上も合併症なく過ごしている方もたくさんいらっしゃるんですよ。かつて1型は命を落とす病気でしたが、現在はうまくお付き合いできる時代になっています。注射以外でインスリンを投与できたり、iPS細胞で膵臓を再生させたりなど、そう遠くないうちに1型の治療は新たな時代に入りそうな気がします。

 

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