昔から彼は目立っていた。行動力、発言力があり、憧れの存在だった。美術部の発表会の時に彼も参加していた。片づけに時間がかかり帰宅が遅くなった。
「ことりを送ってやってくれ」
と先輩が彼に私のことを任せた。45年前、彼はバイクの免許を取ったばかりで粋がっていた。彼はバイクの後ろに私を乗せた。
「家どこ?」
「太子橋」
「南河内の太子町?」
「違う、大阪旭区の太子橋今市」
「…(知らん)。そこまでは送られへんから、どこまでやったら分かる?」
「天六くらいやったら地下鉄乗って帰れる」
そんな会話だったと思う。二人で喋ったのは初めてだった。バイクに乗るのも初めて。ましてや密かに憧れている男性。
「しっかり持たなあかんで」
「うん…」
「違う、もっと抱きつかんと落ちるで」
彼の背中にしがみついた。何が何だか分からなかった。ドキドキしていた。初めての恋のスタートだった。
<件名>おはようございます
昨日はお客様に大うけで良かったですね。
相原さんは話題も豊富だし、お話もお上手だし、頭の回転は昔から良かったので、きっと人気者だと思います。
何しろ、なにわ朝日高のエンターテイナーでしたからね。
終活っておっしゃるけど、それだけの才能と行動力がおありなら、まだまだ現役で頑張っていただきたいです。
終活と言えば、私は独り身なので、だいぶん前から断捨離をやっています。
残りの人生は自分らしく無理しないで、慎ましやかにと考えています。
人生は面白い、楽しみながら「終活」をやっていきましょうね。
次回更新は5月9日(金)、22時の予定です。
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