竹内昭夫先生の見解
竹内昭夫先生は、同シンポジウムの報告「保険及び国家補償の問題」において、
「もちろん国としては、極めて少ない確率しか考えられないにせよ万一の場合には巨大な災害をもたらす原子力産業を、禁止することもできます。
しかしそれを新たに許可する以上は、万一の場合に備えて充分な措置を講ずるのが当然の義務と考えられます」(私法22号67頁)、として、国家補償の必要性を主張されていた。
我妻栄先生の見解
我妻栄先生は、同シンポジウムの質疑の中で、次のように述べられている。
すなわち、「なるほど命令して原子力産業をやらせるのではないけれども、しかし世界の情勢を見て、日本でもバスに乗りおくれてはいかぬからこれをやらせようということを国家が考えて決めた以上は、……被害者に向かっては、最後には文化国家だからお前たちの生活は保護してやる……
それから事業者に対しては、なるほどお前に命令はしていないけれども、一生懸命になってやるつもりなら、それ相応の応援はするといったわけなんです」と指摘されている(私法22号77頁)。