こうした言葉が暗い色で、

門の上に刻まれているのを私は見てしまった

そこで、尋ねた、「先生、これは厳しいですなぁ」

すると彼は物分かりよく、私に向かって、

「ここでは誰も信じることなく

異性も全て絶つのが良かろうもん、門だけに

私たちが来た場所は前にも言った通り、

明知を失った地獄墜ちの連中を、

お前が見るべきとこなのよ」

そして明るい顔つきで父は自分の手を、私の手に重ねた、─えっ、きもっ、

父に手を引かれて私は秘密の事物の世界、エンターテインメントの世界に入っちゃった

ここでは、溜息や泣き声や声高の叫びが、

星もない空間に反響していたから、

初め私は涙を流していたものだ

奇怪な言語、恐ろしい叫び、

苦悩の言葉、怒りの声音、高い声、掠れた声、

それに混じって手を打つ音、

そうしたものが騒然と音をたてて、

時のない闇に彩られた大気の中を果てしなく回っている、

まるで、つむじ風に吸い込まれた砂のようだ


※1 キリスト教の殉教者。シラクサのルチア。視力の弱い人の守護聖人である。

※2 「嘆きの川」「苦悩の川」、アケローン。

※3 ギリシア神話における冥府の川の渡し守、カローン。

 

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