【前回記事を読む】【神曲オマージュ】55歳のおっさんダンテの前に現れたウェルギリウス。「お前を地獄に連れていく」と言われ…

第二歌

ダンテは不安に思った。自分が「あの世」巡りをするだけの実力があるか、と。するとウェルギリウスがなぜダンテを案内しに来たかを説明する。

天国にいるマリア※1やベアトリーチェ※2がダンテの難渋に同情して、地獄の、辺獄リンボ※3にいたウェルギリウスに依頼したのである。

その経緯を知ってダンテは自信を取り戻し、自然と師の後に従って厳しい道に歩みいる。
時は聖金曜日の夕暮れで、地獄巡りは聖土曜日の日没までの二十四時間のうちに行われる。

日が暮れ、夕靄がこめ、
地上の人や動物は労働から解き放たれたがただ私だけが、
労働改革の荒波と帰宅する苦痛に対して
戦いの備えを固めていた
その旅の様を記憶は誤りなく伝えてくれるだろうか?

おお動画の神よ、おおYouTuberよ、今こそ私を助けておくれ、
私が見たことを刻みとめてくれたAIよ、
お前の真価は今こそ発揮されるのだ

私が口火を切った、「先生、先生は私を導いてくださいますが、
この険しい人生に取りかかる前に、私の精神力がそれに耐えうるものかどうかお試しあれ
あなたの著作アエネーイス※4によりますと
シルウィウス※5の父親は直接生きたまま〝あの世〟へ行き、
見聞を積んだという話です

なるほど一切の悪魔を敵視する神が
アエネーイスに好意を持ったとしても、彼が親となって
立派なシルウィウスが生まれたことを考えるなら、なるほど道理ですね

というのも彼はローマ帝国の父として天上で選ばれたからです
地獄はイタリアから少し遠くにあり、未踏の地と定められていました彼の地獄巡りは先生の著作のおかげで有名になりましたが、
旅の途中で知恵を絞り
様々な冒険譚は胸を熱くしました

ところでなぜ私が地獄行きなのですか? 誰のさしがねですか?
私は松永太※6ではありません、宮野裕史※7ではありません
私にそんな資格があるとは、御天道様でも気がつくまい」

今願ったことをすぐに止めて、考えがコロコロ変わり、
今しがた願ったことをすっかり忘れてしまったお馬鹿さんのようにあの暖かい小部屋で考えをコロコロし続けた

というのも思案するうちに面倒くさくなったのだ

「お前の言うことをよく聞いたが」

と、おおらかな親父は答えた

「どうもお前の心はコロコロ変わる
人間はどうやら時々コロコロ風に吹かれるらしい、
それで運命の仕事を投げ出したりする