また、肘を使ってボールを投げるということからすると肘の動きもバッターの視覚には変化点として映りますが、「肘抜き」することで、変化点を曖昧にすることができます。
「スペース」確保からの高速の腕振りと「肘抜き」が相まって、バッターが「リリース」されたことを認識するよりも早いタイミングでボールを「リリース」することができます。
右投手の「クロスファイヤー」球質
更にメリットがあります。右ピッチャーでありながら、左ピッチャーが投げるような「クロスファイヤー」に近い質のボールを右バッターに投げることができます。
右斜め後方の高い位置から肩を開かずに投球を開始し、その獲得した「スペース」を使って高速で腕を振ることができるので、ボールに幅の角度付けを施すことができます。
次頁は2023年シーズンの戸郷投手の対右バッターの「ゾーン」別被打率データとなります。

(拠出:データで楽しむプロ野球 https://baseballdata.jp/2023/playerP/1800028_course.html)
「ストライクゾーン」で見ると、外角の被打率が・270、真ん中が・247、内角が・267と真ん中から内角に掛けてその有効性が見て取れます。