キャンプ初日、若者たちは午前中にマイ箸を作り、最初の昼食を思いっきりもたついて午後二時頃に済ませた。その後、遺跡巡りをし、早めに夕食準備に取り掛かり、スケジュールの遅れを取り戻した。
中学生たちは突っ張った態度を取りながらも、まだどこか子どもっ気が残っていて、目の奥を輝かせている。普段街で不平不満にまみれて暮らす彼らも、非日常に接して心がリフレッシュされるようだ。
明日は早朝から予定が組まれている。男子はキャベツの収穫、女子は昼食の準備。中学生たちは早めに床に就き、明日から始まる本格的な縄文生活に備えた。
大学生たちも初日の無事に安堵し、短めに振り返りを済ませると、それぞれ床に就いた。
――今年はきっとうまくやるぞ!
二年連続リーダーの林は、他人のいびきに悩まされる前に早く寝ようとした。だが、緊張か興奮か、なかなか眠れない。
藁葺(わらぶき)屋根を見上げていると、乾いた空気の中にかすかに夏らしい匂いがする。その匂いを嗅いでいるうちに、疲れが出たか、ようやくうとうととしはじめた。