A:糖質を極力減らすということは、パンやお米を極力食べないってことですよね。それはすごくつらい……。

M:インスリンの発見によって、現代では糖尿病そのもので命を落とすことはほぼなくなり、多くの合併症の予防が可能となりました。人類の寿命延伸に大きく貢献したことが評価され、インスリンを発見したバンティング博士は1923年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

A:インスリンはノーベル賞を受賞した物質だったんですね! 

M:そう、すごい物質なんです。すごい物質ではありますが、治療でインスリンを使うとなると、注射なのであまり印象が良くないですよね。でも実際は、体内で不足しているインスリンを補充する(足りないから補充する)治療であり、下手な飲み薬よりは副作用も少なく体に優しい治療法です。インスリンがノーベル賞受賞物質だということを伝えると、少しイメージが良くなるかもしれませんね。

13.大正時代、インスリン1本〇万円

A:インスリンを治療薬として使うためにはまとまった量が必要になりそうですが、インスリンはどうやってつくられるのでしょうか? 

M:現在のインスリンは、遺伝子組み換え技術を用いて人工的につくられていますが、以前は豚の膵臓から抽出して製品化していました。その際に必要となる膵臓は膨大な量で、山のように積み上げた大量の豚の膵臓から、わずか1本のインスリンしかつくれなかったそうです。