【前回の記事を読む】【全員65歳以上、7,000マイルの米国滞在記】RVのボディにバナーを貼付けてハイウェイへ。現地の人々の反応は…
第1章 ツアー計画
06 三重苦・四重苦の悩みと解放
シェークスピア作の有名な古典悲劇に『ハムレット』なる話がある。
劇中でハムレットが語るセリフに極めて有名な “To be or not to be, that is the question”というフレーズがある。苦難の人生の中で悩み苦しみ、生と死のはざまを生きるハムレットの苦悩を上記の言葉で表現したものだと聞く。
一方、ツアーの出発予定日が近づき催行を決意しなくてはならない筆者自身の胸中には、ハムレットに勝るとも劣らないほどの葛藤が沸き立っていた。「行くべきか、行かざるべきか、それが問題だ!!」。この時点での決断に向けた苦しみと孤独はメンバーと共有するものではなく、一(いつ)にリーダーの責として負うべき責苦そのものだった。
しかし、現下の状況は、まさに三重苦・四重苦の状況が出現している。
【三重苦・四重苦その1】
COVID-19・コロナ禍は日本のみならず地球上のすべての国で現在も終息しきれていない。この時期に蔓延しているのは変異種オミクロン株であり、軽症傾向と言えどもむしろ急拡大している惨状を呈している。この状況は、日本も米国も同様だ。
はてさてどうしたものか。むしろ米国では、フロリダ州の裁判所がマスクフリーの判決を出したことから、全米で急速に外出時のマスクをしなくなっているそうだ。
また、何故アジア人が狙い撃ちされるのかわからないが、アジア人に対するヘイトが度を越して荒れてきたとの報道がなされ、連日のテレビニュースでは暴行の模様が映像により伝えられている。こんなときに火中の栗を拾いに行くべきか?
【三重苦・四重苦その2】
円安が急激に進行し悪化してきており、我々が計画を始めた2年前には、1ドル105~108円で安定的に推移していた為替レートが、このところ急激な勢いで円安が進行してきている。予算を立てた当時は1ドル108円で全体の銭勘定をしていた。しかし、催行を決定する今になって 130円を超える勢いになっており、この先どこまで円は下落を続けるのか? 困った。
そしてまた、ここにきて米国では、ガソリン価格が急騰してきたそうだ。米国で販売されるガソリンの給油単位はガロンであり、日本のおよそ3.78倍にあたる。もともと、アメ車は安いガソリンをガバガバと消費して、高い出力を誇り、燃費の悪いことで有名だった。