妻は伊那谷の空の広さと明るさを思い出していたら、その地名が出てきたと言っていました。実は病気になる数日前、娘と一緒に家族3人で出かけた木曽駒ケ岳からの帰り、宿泊していたホテルの年配のスタッフにこの辺りでちょっと立ち寄っていける場所を尋ねたことがありました。

「陣馬形山ならキャンプ場もあるし、中央アルプスの素晴らしい景色が一望できる。いいところだよ」

地元の人らしく、ちょっと誇らしげに教えてくれました。そこに向かったのですが途中で道が分からなくなり、結局そこには辿り着けませんでした。それでもその時のドライブで感じた風景が、妻の記憶のどこかに残っていたのでしょう。

移住者相談会での現地見学を終え、病室に持ち帰った資料を広げ作戦会議をしました。ああでもない、こうでもないと楽しかった時間でした。

私たちの決め手は妻がここを気に入っていたということはもちろんですが、やはり何といっても土地の値段でした。今まで検討していた住宅地の坪単価と比べて10分の1は魅力です。

建築候補地は市の分譲地に決めました。妻はすでにGoogle mapで調べていて、ここにしたいと区画まで決めていました。

それまで一緒に住んでいた娘は仕事の関係で一人暮らしになりますが、私たちの移住を応援してくれました。話は徐々に進んでいき年末には建設会社も決まり、市との土地の購入手続きも始まりました。

次回更新は3月24日(月)、7時の予定です。

 

【イチオシ記事】何故、妹の夫に体を許してしまったのだろう。もう誰のことも好きになれないはずの私は、ただあなたとの日々を想って…

【注目記事】娘の葬儀代は1円も払わない、と宣言する元夫。それに加え、娘が生前に一生懸命貯めた命のお金を相続させろと言ってきて...

【人気記事】銀行員の夫は給料五十万円のうち生活費を八万円しか渡してくれずついに…