2.原子力事業者の絶対責任と国の援助

2‐1 原子力損害賠償法における国家の責任

①原子力損害賠償法の仕組み

昭和36年法律第147号により、原子力損害の賠償に関する法律(以下、「原子力損害賠償法」という)が制定された。

原子力損害賠償法の目的は、「原子炉の運転等により原子力損害が生じた場合における損害賠償に関する基本的制度を定め、もって被害者の保護を図り、及び原子力事業の健全な発達に資することを目的とする」(同法1条)と定められている。

原子力損害賠償法3条は、「原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでない」と定めている。

これは、損害賠償についての民法709条の規定の特別法となり、過失も要件とされず、原子力事業者が無過失責任を負うことを定める特別法になっており、原子力事業者に絶対責任を負わせている。

また、「同条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者以外の者は、その損害を賠償する責めに任じない」ことが定められている(同法4条)。これは、責任の集中といわれ、民法の原則を超える特別法となっている。

そして、国の措置については、次のように規定されている。すなわち、

16条 政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力事業者(略)が第3条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき額が賠償措置額をこえ、かつ、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なうものとする。

2 前項の援助は、国会の議決により政府に属されられた権限の範囲内において行なうものとする。

 

【イチオシ記事】何故、妹の夫に体を許してしまったのだろう。もう誰のことも好きになれないはずの私は、ただあなたとの日々を想って…

【注目記事】娘の葬儀代は1円も払わない、と宣言する元夫。それに加え、娘が生前に一生懸命貯めた命のお金を相続させろと言ってきて...

【人気記事】銀行員の夫は給料五十万円のうち生活費を八万円しか渡してくれずついに…