泉水殿の命に別状もなく、火傷などで綺麗な肌に損傷がなく、精神面でも、劣化した状況から脱してくれればよいのじゃがな。じゃがの、これでもう我輩と泉水殿との仲は終わりっちゅうことなのかの。この事件で短い時間を共有できた幸せプラス何か。
ほんの二、三度、言葉を交わしただけで、愛を告白したわけでもなし、手を握ったわけでもなし、胸を触らしてもらったわけでもなし、ウワッタタタ。ヤラシー話は避けるのが無難じゃ。とにかく泉水殿、今後も楽しい人生を過ごしなせや。元気での。バイバイじゃ。
さびちぃ。こんなにさびちぃのは、生まれて初めてのことじゃ。もう少しで愛が育まれたのではないかと勘繰ってたのじゃが、憧れていた坂本泉水と会話ができ、この世の薔薇色を経験した強みが、今後の人生を右肩上がりに連れてってくれるのではないかのう。そう思っていればよいのかの。愛しの泉水ちゃんじゃった。愛してるぞよ、泉水殿。
それにしても、いくら火事場の馬鹿力といえども、あのときあの場所で、どうしてあんなことができたのか、我輩でもわからんのじゃ。愛の力なのかの。恋する輝男はイケメン~~(笑)
我輩は、この程度の精神的苦痛には慣れっこになっておって、屈強じゃから、救急車はお断りしたのじゃ。向こうさんは職業上、健康管理っちゅうもんがあって、救急病院まで無料で送迎してくれるのじゃ。無料っちゅうのは、サービスっちゅうことじゃ。救急車はり心地が著しく悪環境じゃし、あのピーポーピーポーが腹立たしい。まぁ、乗らんでよい。
「クマ君。我輩の雄姿を見てくれたかの。お主の飼い主の晴れ舞台を見ることができたのじゃ。感動もんじゃったろう」
ニャー。そこに各テレビ局のリポーターたちが先を争って突撃してきたのじゃ。そうじゃ、我輩の晴れ舞台じゃ。ウケる発言でもしようかの(笑)
「大人さん。燃え盛る火事のなかに飛び込んでの女性の救出劇、素晴らしかったです。恐怖は感じませんでしたか」
「これでも少し抑えたのじゃがな」
「火傷などなさらなかったですか」
「これしきで負ける我輩ではないわ」
似たような質問がジャンジャン飛び交い、似たような応対をし、似たような終息。よいことじゃよいことじゃ。
我輩は笑い出すのを必死に堪えて、クールに接しようかと表向きになってはいたが、結局はインタビュー慣れもしておらんし、シラケさせてはいかんと思うて、必要以上の会話においては、遠慮させてもらったのじゃ。人助けのほうが、まだ楽じゃ。
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