僕は昭和根性世代に育ちました。バブルの明るい社会の仲間入りを目指して勉強しました。受験戦争も生き延びました。

しかし、高校に入学した年にバブルは崩壊。大学に入学した時には絶対に潰れない会社であるはずの山一證券が倒産。

冷戦も完璧に終わりを迎え、なにやら世界中が経済戦争に入ると世の中が騒ぎ始めました。日本人が生き残るには、今までのやり方ではダメだと。創造性があり、英語がしゃべれて、パソコンに通じている人間以外は経済的負け犬になる。海外との経済戦争にも負け最後は日本国内で飢え死にする、と。

僕は己の立ち位置を見つめました。僕は、日東駒専の下にある大学に通っていました。マスコミの言う世の中になるならば、飢え死に人生が待っているグループの人間です。

僕は生き残るために、分析しました。僕クラスの人間でも飛び込める勝利グループはないだろうか?と。上級と下級の狭間に存在するグループを探しました。そこに飛び込むんだ。一度内部に入り込めばこっちのものだ。後は定年まで誰にも嫌われないように勤めあげよう。30才になったら結婚式して、家庭を作る。子供は2人。

65才で定年したら、タイかフィリピンに妻と移住しよう。

余生は温暖で、物価の安いアジアで安楽に生きるんだ。

先行逃げ切りの人生を完遂するんだ。そう決意しました。

父親がマスコミ関係の仕事をしていたせいか、情報収集と分析能力は受け継いでいたのでしょう。僕は僕にとって最高な産業グループを発見できました。それはスーパーでした。

当時、スーパーはグループ会社のコンビニとファミリーレストランの好調もあり、右肩上がりの産業でした。

さらに分析を進めました。ファミレスの社員はスーパーハードな世界だ。定年まで勤める自信はない。コンビニの社員には頭脳戦が求められる。僕クラスの人間は入社はできない。