エッセイ 小説 絵本・漫画 絵本 動物 現代社会 人気連載ピックアップ 2025.02.28 「売れ残り」の他の犬たちと一緒に小さな檻へ入れられた。さわられてさわがれて。にんげんがとても怖くて、とてもきらいになった。 【前回記事を読む】「この子がそばにいたらくさくて吐き気がして具合悪くなっちゃう」ママはもうさわってくれなかった。そして、わたしは返品された。 次回更新は3月1日(土)、18時の予定です。 【イチオシ記事】あの人は私を磔にして喜んでいた。私もそれをされて喜んでいた。初めて体を滅茶苦茶にされたときのように、体の奥底がさっきよりも熱くなった。 【注目記事】3ヶ月前に失踪した女性は死後数日経っていた――いつ殺害され、いつこの場所に遺棄されたのか?
小説 『約束のアンブレラ』 【第3回】 由野 寿和 なぜこの場所にいたのか…ずぶ濡れだった少女の靴についた泥の一部は乾きかけていた 「遺体は三十代半ばの女性。薬指には婚約指輪だ。三ヶ月前の九月三十日に失踪した久原真波(くはらまなみ)に酷似している」「にしても失踪届が親族から出されたのは三ヶ月も前です。遺体の腐敗は進んでいるのではありませんか?」「理由は三つある。あの傾斜は地面から二メートル近い場所にあった。地中深くに埋めることで微生物などの影響を軽減し腐敗が遅れた。そして低温環境だ。冬という季節に加えて、この藤山は高山地帯と…
小説 『約束のアンブレラ』 【最終回】 由野 寿和 彼はあんなずさんな殺人を犯す人間じゃなかったはずだ…。事件は解決したのに胸騒ぎがする。刑事の前に現れた少女は、真っ赤な傘を手渡して… 午前十時を過ぎた時、藤山を少し下った大通りで、深瀬は大きく息を吸い込んだ。新鮮な空気と心地の良い風が吹いている。雨に濡れた木々が美しく、藤山がいつにも増して壮観に映った。鳥谷も撥水性のあるコートの皺を伸ばすような仕草をして、右の方を睨みつけるようにしていた。先の見えない暗い道が続いている。「どうかされましたか、鳥谷さん」「どうも気にかかる。どこから横川淳一は栗林智久が久原真波に好意があるという情…