そして事務部門として経営、運営、営業、経理などがあります。第一次産業、第二次産業ではない第三次産業の中でも、事務職と専門技術職が二分する傾向があり、事務職のほうがエライという感覚が強いようです。

より儲けるように企画運営するのは事務職だからという思いが強いからでしょうか。そして上層部になるのは事務職が多いからでしょうか。

大体理不尽な要求を突きつけられるのは専門技術職で、内容がわかっているのかわかっていないのかわかりませんが、営業や上司から早くしろとか経費と下げろとか言われます。実際に何も作っていないほうがいろいろ言うのですからヘンな話ですが、事務職優位で考えがちです。

専門技術職は、一般的に専門教育を必要とする職業です。

建築士や電気工事士、IT技術者、デザイナーなどです。アメリカ流に運営や管理、マネージメントの専門職は日本では考えにくいでしょう。

それらの専門性は、エクスキューズとしてコンサルタントを利用するかもしれませんが、そんなしゃれたことを言う人は社内にいらないというのも本音ではないでしょうか。

なにしろ、入社したら職務内容や勤務地、時間さえ無限定に働くことが求められるのですから。専門教育を受けていない事務関連職種と専門教育を受けた専門技術職の、職場内勢力の問題となります。

専門技術職と事務職の問題は根深いと思いますが、仕事をする意欲に深くかかわってきます。このように働くことは二つに分かれてきており、あまり明るいほうに変化していないようです。

狭き門を通過して正社員になってもつらい、非正規で不安定なのもつらいし、大逆転することもあるかもしれないがそんなことめったにない。

資格や専門技術を身に着けても専門外の事務職に使われることもあるかもしれない。それぞれの仕事で前進することができ、給与も納得し、普通に生活することがそれほど難しいことになったのでしょうか。

現代の利潤を追求する資本主義経済の当然の帰結として、労働形態の二分化と職種による二分化があるとすれば、労働に病んでくることもさほど不思議ではありません。

今までは経済成長に目を奪われてきましたが、経済が成長しない時代の労働を考えると、今までとは違う反応が起きても仕方がないのかもしれません。

【前回記事を読む】何年もこの仕事をしてきたのに、新人と同じ評価を受ける屈辱。単に運とタイミングで、自分より能力が劣る者が正社員…労働に病むことに。

本連載は今回で最終回です。

 

【イチオシ記事】あの人は私を磔にして喜んでいた。私もそれをされて喜んでいた。初めて体を滅茶苦茶にされたときのように、体の奥底がさっきよりも熱くなった。

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