前書き

北海道中川郡中川町!

私の生まれ故郷で、本書に登場する町です。北海道の最北部に位置する人口2,300人ほどの町で(「元気発進」メールが書かれた当時)、現在は人口流出がさらに進んで、1,300人ほどまで落ち込んだ小さな町です。酪農や畑作など農業が主な産業ですが、取り立てて特色を見つけるのが難しい寒村です。

ジャーナリストになることが夢だった私は、早稲田大学を卒業後に北海道新聞社に入社し、根室管内中標津支局に配属となりました。

まだ新聞記者として駆け出しの支局員時代、それまでは病気知らずの頑健そのものだった父が突然病に倒れ、余命半年と宣告されました。家業の建設業を継ぐために、ジャーナリストの夢を諦め北海道新聞社を退社しました。

以来、父亡きあと約30年間にわたり、建設会社の社長を務めました。その間、町政には全く無縁で事業一筋を貫いた私でしたが、多くの町民のご推薦をいただき、1999年、53歳の時に無競争で中川町長に就任しました。しかし次回の選挙では落選しました。

1期だけの在任期間でしたが、思えば我を忘れて職務に打ち込んだ4年間でした。小さな町の可能性を探し求めて奔走した4年間……と言い表しても、決して過言ではありません。

私が町長職に就いて2年が過ぎた頃に、全職員にパソコンが支給され庁内ランが整備されました。その機会に職員からタイトルを募集して、全職員あての「元気発進」メールがスタートしました。新聞記事の感想や出張先で見聞きしたこと、体験したこと、季節の移ろいや自分の思いなど、毎日のように平易な話し言葉で職員に語りかけました。

その毎日の “語りかけ” は、積もり積もって2年1ヶ月で543号に達しました。その時の「元気発進」メールを抜粋したものが本書です。