積立金が安い方が売りやすいのはなぜか。マンションを購入する人のほとんどは、住宅ローンを組む。毎月の返済は、住宅ローン返済額+管理費+積立金+駐車場使用料となる。

サラリーマンであれば返済できる金額はほぼ決まっている。つまり、積立金が高ければ、住宅ローンの返済額は少なくしなければならない。

そのためには、安いマンションを買うしかない。積立金が安ければ、その分、住宅ローンの返済額を増やすことができ、高いマンションが購入できる。積立金をコストととらえると、積立金は安い方がいいという結論になる。

ほとんどのマンションは年数が経過すると多額の修繕費用を賄うために、積立金を値上げしなければならなくなる。これは、マンション管理を知っている人なら当たり前の話である。しかし、マンションを購入する人は積立金は値上がりするものなのだということを知らないことがある。

住宅ローンの返済で余裕のない生活をしている人は積立金の値上げに反対するだろう。しかし、積立金が不足して、修繕できないなどの事態に陥れば、資産価値は低下してしまう。

ボロボロのマンションを高く買う人はいない。積立金が安い方が資産価値は高いとは言い切れないのである。

なお、積立金の考え方には段階増額方式と均等方式の2通りがある。新築マンションとして分譲するときに、分譲会社がどちらかを選択している。段階増額方式が選択されていることが圧倒的に多いが、国は均等方式を推奨している。なお、途中で変更することもできる。

①段階増額方式

築年数が経過するごとに、段階的に積立金を値上げする方式である。

 ・新築分譲時の積立金計画例

   1年目 ……1万6000円

   5年目 ……1万6000円

   10年目 ……1万6000円

   15年目 ……1万6000円

   30年目 ……1万6000円

一見すると、なんの問題もない方式に見えるだろう。これなら築年数が経過しても積立金は値上げしないですむ。老後の計画も立てやすいだろう。だからこそ、国も推奨しているわけだ。しかし、この方式にも落とし穴がある。