あたしとカナ パパ、ママ二人ずつ
「お父さん、腕までの厚めのゴム手袋をするといいですよ」って言ったけど、メグ先生の腕は、傷だらけ。うっすら血も。豪快にマキロンを振りかける。ちょっと診察室を離れてた看護師の琴美さんが戻ってきて、
「またなの」ってあきれ顔で言う。
「何で待てないのよ、一人じゃホールドもできないじゃない。ばかね、痛いでしょ。私が朱美に叱られるのよ」って怒るから、みんなびっくり。
「どうも教育がなっておりませんで」って先生言ったら、琴美さんも、
「大変、失礼いたしました」って頭を下げた。でも、しっかり先生の足を軽く蹴ったのをあたし見た。
スタッフはみんなニコニコしてる。なんで、みんな、こんなに仲いいの? 女性陣は美人ばっかり、男性陣も変な人は見てない。こんな職場に就職したいって思った。
「厚手のゴム手袋と爪切りもショップにありますから、お気に入ったら是非」って教えてくれた。精算してもらう間、奥のシェルターまで行って、洗濯屋さんや、車いす工房も眺めて、最後にショップに行ったら、「連絡が来ております」ってフードと、厚手の手袋と、爪切りがレジ横に置いてあった。パパが
「北川景子?」って呟いたくらいに綺麗な英美さんが丁寧な言葉で、
「もし、お気に召しましたらご購入ご検討ください。また猫ちゃんのいたずら防止用品とか、爪とぎがございますので、お時間ありましたらご覧になってください。木の爪とぎはメグ先生の手作りで百円でお買い得です。奥様、抱いてらっしゃるゴンのお気に入りでもあるのですよ。
あっそれから、犬のハルちゃんのお家はフローリングですか? 滑りやすいと足腰を痛めます。簡単なマットもありますので見ていってくださいと連絡が入っております」
みんな情報伝達にびっくりしてたけど、カナだけ、「ねっ、言ったでしょ」って自慢してる。
パパとママとあたし、言われるままに購入した。カナパパもマットを買った。