第1章 夫婦の問題
(9)夫婦生活を脅かす心身のストレス
▼心身のストレスと生活習慣病の男女差
お気付きでなければ申し上げます。前述した食べ過ぎ、運動不足、飲み過ぎ、喫煙、夜更かしなどのストレスを招く生活習慣は女性より男性に多く認められています。
だからこそ、残念ながら肥満、高血圧、糖尿病、がんなどの生活習慣病が男性に高頻度に起こっています。そして、男性は、高揚感を持って仕事に集中できる反面、対人関係では、ストレスで怒りっぽく、独りよがりになったり、または無関心や無気力になったりする傾向があります。何より、夫婦間にコミュニケーションが途絶えセックスレスを引き起こします。
一方の女性は、悪しき生活習慣のストレスが比較的少ない状況の中で、注目すべき事実があります。前にも述べましたが、およそ28日間の月経周期に合わせてエストロゲンとプロゲステロンの女性ホルモンが周期的に分泌量を増やして作用することです。ここでエストロゲンが副交感神経と類似の、プロゲストロンが交感神経類似の、それぞれの作用を発揮するのです。
本来の副交感神経と交感神経はシーソーのように、相互に強くなったり弱くなったりする関係を持続させているのですが、ここに月経周期の大きなうねりが加わることで、自律神経やストレスの反応に少なからず男性との違いが生まれています。
女性はある程度ストレスに感じるような環境や対人関係の変化に男性よりも順応可能です。家事・育児に新たな仕事が加わっても比較的淡々と対応することができます。突然、見知らぬ女性同士が同席したとしても、会った瞬間から年来の友人のように会話がはずみますが、男性同士なら何時間たっても無言のままかもしれません。
ただ、心身の何らかの強い変化に直面すると、自律神経のバランスが崩れやすく、ストレスを引き起こしやすい傾向があります。苛立ちや不信感に加えて、男性以上にうつ症状が出やすく、無関心や無気力に陥りやすいのです。当然ながらこちらもパートナーとのコミュニケーションやセックスの機会が失われてしまいます。
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次回更新は1月18日(土)、20時の予定です。
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