四章 終の住処
俺は幸福なことに両親を亡くした小学生の時からそれぞれみんなの両親にお世話してもらったことで今がある。
「ガーデニングで精神を落ち着かせることが出来るとなれば、俺の病んだ心も癒えるとステフィーは思ったのだろう。本当にそうなったのだから、さすがとしかいいようがないな」俺は絶賛した。
ステファニーの思い通りに、俺はとことんガーデニングにはまってしまったわけだ。そして、日を重ねるごとに心が安らぎ、これまでのストレスを解消してくれた。
とりあえず俺の私生活に対する矛盾の謎は理解してもらえるようになっただろう。
「ガーデニングは興味がないのよ。この家の見取り図の方が気になるのよ」エマがいい放った合図で過半数が立ち上がったので話を切り上げて、家を案内することにした。
所詮ガーデニングをどんなにしようとも客人にはどうでもいいことなのか。家の価値は部屋が何個あるのか、トイレはいくつあるのか、家具はどのブランドが使われているかなどの単純なもので評価されるのだ。ガーデンはとにかく広ければ羨ましがられるのだ。昨日一日中、汗水流しながら取り組んでいたのが馬鹿馬鹿しくなった。
時間をかけて造り上げてきたが、どうせ崩れる時は記憶に残らない程一瞬だ。それは、人間関係も同じである。