たとえば、日本の確認できるNPO法人数は約5万ですが、米国のNPO数なら、推定で163万と2桁違いに多く、小売業、製造業に次ぐ第3位の雇用者数を創出する一大産業なのです。

慈善、芸術、文化、健康や宗教などに加えて、貧困対策、性差別救済、発展途上国支援や地球環境保全など身近なテーマから国際問題まで多種多様な支援活動に関係するNPOが存在しています。

ただし、米国でNPOが社会的に大きな役割を占めているのは、日本でなら行政が主導して当然のようなサービスがもともと少なく、そのサービスを必要と感じている人々が集まって活動を始めたからだと言えます。NPOを立ち上げざるを得なかったのです。

さらに米国で「健康管理・ボランティア仲介連合」が2010年に発表した成人4・5千人の調査で、41パーセントが平均100時間のボランティア活動に参加しています。

そのボランティア活動参加者の68パーセントが「肉体的に健康になった」と答え、73パーセントが「イライラや不安などのストレスが減った」、89パーセントが「幸福感が高まった」と回答しています。

心身のストレスが軽減して満足感や幸福感を実感できるのは、ボランティア活動だけではありません。町内会・自治会、職場、スポーツ・娯楽・趣味の集まりに、NPOや市民活動などを含む対等な人間関係組織のどんな活動であっても、社会的な信頼感や連帯感とともに程度の差こそあれ誰でも幸福感を実感することになるのです。

【前回の記事を読む】「孤独」や「社会的な孤立」とは対極の概念となる社会関係資本が幸福感をも左右している

次回更新は1月14日(火)、20時の予定です。

 

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