夫婦の問題

社会関係資本の乏しい男性

▼先進国最低の日本の社会関係資本

日本の乏しい社会関係資本を全世界に知らしめたのが図1です。

英国のレガタム研究所が毎年発表している「レガタム繁栄指数」(2018年)で、世界149カ国を、経済、起業の可能性(ビジネス環境)、政治の健全性(ガバナンス)や健康、治安などとともに社会関係資本についても指標化してランキングを出しています。

日本は、健康や治安では、全世界149カ国中、それぞれ3位、2位とトップレベルで全体の繁栄指数でも23位ですが、こと社会関係資本になると99位となり、先進国中では最低です。

ちなみに社会関係資本の1位はニュージーランドで、ボランティア、NPO、市民活動などの盛んな米国は6位、社会関係資本提唱の研究対象地のイタリアは41位でした。

社会関係資本が最低だということは、独り身世帯も含めた夫婦(家族)世帯が社会的に孤立していることを意味しています。

周囲との信頼感や連帯感、さらには自分たちの満足感や幸福感を実感しにくいのです。たとえば夫婦のどちらかが何らかの不満やストレスにさいなまれても、それらを改善させるすべも環境も乏しく、相談する相手がパートナーしかいない可能性があります。

改善策やサポートがないまま、独りよがりの経過をたどってしまうことになります。パートナーとのコミュニケーションがないなら、なおさら不満もストレス(イライラや不安など)も蓄積されるだけとなります。

[図1]日本の繁栄指数の国際順位

【ポイント】

社会関係資本の乏しい日本では、個人と行政、職場では上司と部下などの上下関係の人付き合いが強く、隣近所の集まりや市民参加の様々な企画への参加などの対等な人付き合いが貧弱です。

社会的な孤立は、個人の不満・不安を募らせ、夫婦生活の信頼感・満足感を低下させるのです。皆様の周囲にはスポーツ・娯楽・趣味などの多種多様な集まりが豊富にあります。関心を持たないことは、夫婦間の心身の溝を深めることになります。

【前回の記事を読む】日本人の繋がりはなぜ希薄? 欧米の事例から学ぶ、日本人が心身のストレスが軽減して満足感や幸福感を実感するためのヒント

次回更新は1月15日(水)、20時の予定です。

 

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