家守のアオダイショウ

突然(とつぜん)の出会い

純二は小学校4年生から卒業するまで、おじいさんとおばあさんの住んでいる田舎(いなか)の家に預(あず)けられていました。純二が外から帰ってきたとき、家の人は皆(みんな)出掛(でか)けていて、家中シーンとしていました。

玄関(げんかん)の土間から台所の土間に向かっていくと、何とドアのノブにヘビが巻(ま)き付いているではありませんか。ドアノブを回して、ドアを開けようとしているのです。

一瞬(いっしゅん)立ちすくみました。気を取り直して、よく見るとアオダイショウでした。アオダイショウには危険(きけん)はありません。

「おーい」

とアオダイショウに声をかけるとアオダイショウも気がついて、目が合いました。ドアノブに巻(ま)いている胴体(どうたい)をするすると解(と)いて、飛び下りて逃(に)げていきました。体長60センチメートルくらいのまだ若いアオダイショウでした。夕飯のときに、

「おじいさん、今日ね、アオダイショウがドアノブに巻(ま)き付いていた。きっと、懸命(けんめい)にドアノブを回そうとしていたのだよ」と話しました。

「そうか。時々、ドアを閉(し)めて出(で)掛(か)けたはずなのに、帰ってみるとドアが開いていることがあった。

外の戸は閉(し)まっているので、何も盗(と)られていないし、そのままにしていたよ。アオダイショウの仕業でドアが開けられていたのだったかもしれないね」

「そうか。子どものアオダイショウがドアノブを回す練習をしていたのだね」「アオダイショウは賢(かしこ)いね。人がドアノブを回してドアを開けるのをどこかで見ていて、開け方を覚えたのだね」

とおじいさんは、しきりに感心していました。