「……光の子?」
「そうですよ。光の子とは、この世界を闇から救うために神がお選びになり、人間界へ使わした者のこと……まさに貴方が、神に選ばれたお方の一人。……後々理解するでしょう。何も心配することはありません。安心なさい」英良は、半信半疑な表情で台の上に寝ていた。
「貴女はジェシカさんでしたね? ところで、ここはどこですか?」
「先ほども説明しましたね。ここは、意識の中です」
「意識の中? 私は病気で倒れたのですか? もう私は死ぬのですか?」
「貴方は正常ですよ。さっき私の言ったことを理解していませんか? 貴方にはやらなければならない仕事があるということを! これは現実です」
「頭が混乱してきました……すいません。とにかく、元の世界へ私を戻してもらえませんか?」
「良いでしょう光の子よ。でも今一つ貴方にお願いがあります。幸福のある未来へ向かうため……これからの毎日、心の中でこう呟いて下さい。シャローム」と。
「シャローム……?」
「そうです」
英良はジェシカの顔を見ている。
「よく聞いてくれました……この言葉はヘブライ語で"あなたに平和がありますように"という意味を含んでいます。一日二回、起床した時と寝る前に、必ず行って下さい。おやりなさい! 数秒で済むことです。
面倒臭がるのも良いでしょう。ただ、疑念を持ったり、意識的に怠ると貴方は《大病》へ一歩ずつ近くので注意なさい。
良いですか……。世の中には科学で証明できないことが山のようにあります。既に、貴方が体験していることも含めて……。貴方の夢の中に出てくる人物や日常生活で貴方に降りかかってくるあらゆる事象が、貴方の持っている光に誘われて来るとしたら?
力なき弱い者は、力あるものに近寄り巡ってきます。光あるものには、同じく光ある者が近寄ってきます。分かりますか? また同時に邪悪な黒いモノが近寄ってきます。
弱い光を持つ者は、強い邪悪な者に飲み込まれ消えてしまいます。……強き光を持つのです。この世にある物は全て繋がっています……。今は分からずとも、後になって貴方もだんだんに認識してくるでしょう。」
【前回の記事を読む】わざとスカートの中が見える仕草をした…俺の視線を誘うように。―奇妙な建物で目が覚めると、近くにいた謎の女性が… …
【イチオシ記事】遂に夫の浮気相手から返答が… 悪いのは夫、その思いが確信へ変わる
【注目記事】静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた