第一章 再起
《小詩(シャオシ)、天国で楽しく健やかにいることを祈っています。あなたのことを忘れることができません。
母亲(ムーチン)からの手紙を領事館から受け取りました。小詩(シャオシ)が天国に逝ったことを知りました。小さい時から不自由な体で希望の持てない人生を送らせてしまいました。病気を克服して、人としての幸せな人生を送らせてあげられなかったことが、残念です。
最後に一目小詩(シャオシ)に会いたかったのですが、叶わない望みです。二週間も前に亡くなっているから、葬式も終わって、埋葬されていますね。
小詩(シャオシ)との楽しい生活を思っていました。お金を貯めてあなたを大連の大きな病院に入れて、私が毎日お見舞いに行って、話を一杯したかった、調子の良い時は二人で大連の郊外を歩きたかったね。
私は、奇跡は信じないけど、希望を一杯持っていました。でも、その希望もなくなりました。母亲(ムーチン)や父亲(フーチン)の責任ではありません。『母亲(ムーチン)、自分を責めないで下さい。きっと、小詩(シャオシ)はあなた達の子供であったことを喜んでいると思います』
小詩(シャオシ)がなぜ生きていけなかったのか、私の罪の大きさに慄いています。》
水曜日の夕刻に丽萍(リーピン)から電話があり、金曜日の夜に夕食の約束をして電話を切った。丽萍(リーピン)の力ない話し方には心が痛んだが、その後の日本への報告資料作成に心が奪われ、自身の声にも生気がなかったように感じられた。大連のホテルでは、通常の客室は既に満室でスイートのツインルームに案内された。
金曜日の昼にメールで餃子専門店に予約した旨の連絡があった。宿泊ホテル近辺で、水餃子、蒸餃子、焼餃子が楽しめ、野菜、豚肉、牛肉、魚介類と豊富な品揃えが自慢の日本人好みの店であった。
寒い大連での温かい食事は有難い限りだ。冬の大連では冷えた冷蔵庫のビールを頼むより、常温ビールの方が確実に冷えており、青島麦酒で温かい餃子が堪能できる。しかし、指定されたレストランに向かうことはできなかった。