「それでは若い順に一言ずつ自己紹介をさせていただきます。じゃあ、平良君」と城間さん。えっ、一番若いのは山田さんじゃないのか。

「平良良太です。良という字が2つ並ぶ変な名前です。一つ抜かして平良太と3字にしないでください。沖縄の『たいら』は2文字です。僕も車が大好きですが、自分ではまだ買えないので、いつも車の近くにいて運転もできるこの仕事を選びました。

父は沖縄出身ですが僕は東京で生まれました。両親を東京に残して沖縄に逆移住してきました。よろしくお願いします」

結構しっかり挨拶できるじゃないか、車好きというのもいいし、女性受けはよさそうなので、悪くない。

「それでは次は山田さん」

「はい、山田美憂です。私はずっと沖縄です。高校卒でここに就職しましたのでもう12 年になります。

こんな感じですが、今年30歳になりました。30歳というとたいてい驚かれます。車のことはあまり分かりませんが、特技はスケッチとイラストを描くことです。よろしくお願いします」

えー、女性の年齢は分からないな。20歳そこそこかと思ったけれど、僕と2つしか変わらないなんて、と考えていると、城間さんが立ち上がって自己紹介を始める。

「城間です。車は大好きですし、車を売るのが趣味のようなもので、楽しくこの仕事をしてきました。本土から来られた所長さんより年上なので、所長さんもやりにくいでしょう。引き継ぎが終わったら辞職して別の職場に移ります。それまでよろしく」

えっ、そんな話聞いてないよ。車をほとんど一人で売っている人が突然いなくなったら、一体どうすればいいのだろう。

【前回の記事を読む】沖縄に来たことを全身で感じた。今日から気持ち新たに頑張ろうという前向きの気持ちと、ついに最南端まで来てしまったという不安な気持ち。

次回更新は12月22日(日)、8時の予定です。

 

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