「……あ、はい、そういうことでしたか」

「よし! 怖い真意を語ったところで話を戻すが、お前のメンバーとしての活動としては最低限呼べば来てくれさえすればいい。今日みたいにな」

「……」

「クラシオン。皆と協力してSPHの陰謀を阻止する。入ってくれるか?」

「――――」

……肌に感じる強風を感じつつ、眼前の頼もしい背中に掴まりながらバイクが疾走する。

ヘルメットを被り視界には院さんの背中しか見えないが、感傷に浸るという点でいえばこれほど爽快なものは他にないかもしれない。  

「……」

特に会話を交わすことなくバイクに乗っていた体感時間と適当な距離感にて、早数分で何kmも先にある指定の目的地付近に辿り着き、院さんが車道から外れようと車体を傾けて歩道に寄せる。

「あ、もうここでいいです。大丈夫です」

俺は、丁寧に速度を落とし駐車場とは別方向にある出口に近づこうとする院さんを止めようとしたが、「いや、もうちょっと中に行くわ。……ここでいいか?」と、俺の遠慮を大人の対応で打ち崩していった。

「はい、ありがとうございます」

出入り口まで残り3、4メートルにまで達してから院さんはバイクを止めて、俺はバイクから降りる。

「ん、でも、何で今日も病院なんだ? おまえなんか体悪いんか?」

「えと、……姉がいるんです。その姉がちょっと体弱くて、通院してる感じで」

「そうだったのか、お大事にな」

「ありがとうございます」

そう言って自分が被っていたヘルメットを預け、一礼してから病院の中へと駆けて行く。