─一年ほど前、その星には沢山の生物がいた。食料を生産し消費する。規律と気遣いのある文明社会があった。沢山の緑に覆われ、湧き出る水は永遠に続くと誰もが信じていた。しかし、その宝の星は、遠くの星、女王の支配する星にとっても魅力的に見えた。原住民族を葬り去り、植民地として征服するために女王は行動した。
太陽光が半減したマゼラン銀河第三番惑星の地表面温度は一気に低下した。それにより、作物が育たず食べ物が不足し、暖房のためのエネルギーの供給がままならず、寒さにより行動範囲が限定されることとなってしまった。日常の暮らしが脅かされているその星の国民の不平と不満は、爆発的に拡大していた。
国王は気温の低下を招いている原因を突き止めるための調査を開始するよう緊急防衛チームを発足させた。国民の日常生活を復活させるべく、すべての国家活動を停止させ、現在起こっている事象に立ち向かうためのチームだ。国土防衛のため学識者と軍事部門の精鋭部隊千人規模であった。その星の科学者はあらゆるスキルを結集して、不眠不休の態勢で原因を突き止めるため行動した。
そのチームは、宇宙空間に漂って、太陽光を反射している物体を数個回収することに成功した。その物体は何からできているのか。また、数億枚の反射板が太陽光を遮断するために時間と共に位置を変えたり、角度を調節したりできるのか。なぜ一糸乱れぬ集団行動ができるのかを調べた。
しかし、第三番惑星の持つ科学力では詳しいことは分からなかった。その星の国民は、毎日発表される緊急防衛チームの調査の進捗に一喜一憂していた。