私はここしばらく入院中でしたので、最近の夫の様子は詳らかに知らされておらず、経過の状況が良く判りません。
そこで甘い、身びいきの見方かもしれませんが、今までに何回もこうした時を迎え、辛うじてクリアーしてきたので、今回もこのところの暖かさの応援も受けて、乗り切れるのではないかと婿と同じに思いました。ただ心配なのは、傾眠傾向がこの二、三日続いているということです。
でも、私が退院してすぐ、病室に直行して、今退院してきたことを告げた時のことです。夫が私の持っている杖をじいっと見つめているのです。そこで、
「心配をかけてごめんなさい。O大の名物先生が腕を振るってくださり、股関節には大きなボルトが撃ち込まれてはいるけれど、手術の経過はとても良いということなの。痛みは全然ないし・・・。リハビリもある程度終わって、あとは自分できちんと見守っていくということになるの。
ということで元気に今退院してきました。でも、この杖は当分の間使わなくてはいけないのですって。転んだらまた手術ということになるということになるので・・・」
と私が言いますと、夫はまだ納得がいかないような顔をしているのです。
「でもね、自分できちんと歩けるようになればもちろんこの杖は使わなくてもいいんですって。当分の間使えばまた元のようにこの偉大なる二本の足ですいすい歩けるようになるの。それに手術のあと、一度も痛いと感じなかったのは私だけだってみんなに言われたのよ。すごいでしょ」