バッター受難の時期が再び到来か

次ページ以降は2006年から2023年シーズンでの、NPB両リーグのチーム平均防御率、チーム平均打率、総本塁打数、規定打席数に達した両リーグの3割バッターの人数、そして規定投球回数に達したピッチャーを防御率のレンジで人数区分した表です。

2011年、2012年シーズンの本塁打数を見ると、その2年間は大幅に減少しており(2010年シーズンに比べて約4割減です)、統一球導入当初の2年間は本当にボールが飛ばなかったことが数字に表れています。

チーム平均打率を見ると、2013年シーズン以降、統一球の仕様調整により、2011、2012年シーズンよりは上昇していますが、ここへきてセ・リーグのチーム平均打率は、2022年シーズンは・248、2023年シーズンは・244と2割5分を切る状況に、またパ・リーグのチーム平均打率も、2020年シーズンの・246を皮切りに・241、・240、・241と4年連続で2割5分を切る状況となっています。

そして、規定打席数に達した3割バッターの人数も、チーム打率の下降と歩を合わせて、大幅に減少してきています。3割バッターに10名程度名を連ねていた時代は遠くなり、セ・リーグでは2022年シーズンは4名、2023年シーズンは3名、パ・リーグでは2022年、2023年シーズンともにわずか2名というところまで激減しています。

またセ・リーグでは2022年シーズンの村上選手(ヤ)が・318、パ・リーグでも2023年シーズンの頓宮選手(オ)が・307で首位打者を獲得していますが、その打率も3割を大きく超える数字にはなっていません。

次にチーム防御率を見てみると、2011年、2012年シーズンに統一球の影響で、突出した低い防御率が出現して以降は、ほとんどの年で3・50以上の防御率で推移してきましたが、セ・リーグでは2022年シーズンから3・50を下回り、2023年シーズンでは3・19へと、パ・リーグでも2021年シーズンから3・ 50を下回り、2022年、2023年シーズンともに3・16と一段と低い防御率に向かっています。

規定投球回数に到達したピッチャーの中で、防御率3・00を下回る人数も、規定投球回数に達する人数が減少している中、人数的な厚みが出てきています。

投手の分業制がより進んだことで、規定投球回数に到達する人数の減少につながっていることはもとより、短いイニングに集中して力を発揮することができるピッチャーの攻略にバッターが手を焼いていることも要因の一つでしょうが、ここへきて、ピッチャーのバッターに対する優位性が上がってきているように見て取れます。