『あ、はい。ゴンドラが……落ちましたが、ええと、スタッフは……』

「滝口さん、気持ちはわかるが落ち着くんだ。俺の名前は仲山秀夫。娘と二人でゴンドラに乗っている。落ちたゴンドラ以外の乗客は全員無事のようだ。だから落ち着いて聞いてくれ」

努めてゆっくりと話す仲山に、滝口の気持ちはいくらか落ち着いたようだった。

『ええと、ここはドリームアイの真下にある運営局で、システム管制室から指示を受けて動いてます。それで、私達は避難誘導をするように言われて、私以外のスタッフは今、入場待機列のお客様を避難させてます』

「なるほど。君は? 連絡係か?」

『はい。システム管制室の宮内さんって人の指示で、ここで連絡待ちを』

「その部屋にいて、何かおかしな様子はあるか? 計器が壊れたとか、制御が利かないとか」

『あ……』

仲山に状況を言い当てられた滝口は動揺して続きを話せない。

「やっぱり、ドリームアイは制御できていないんだな?」

それを認めてしまうとパニックになりかねないと、滝口は返事を渋った。そこに仲山が続ける。

「そっちの事情はわかった。じゃあ今から言う話を落ち着いて聞いて欲しい。これは、観覧車を使った計画殺人だ」

『は……はい?』

殺人と聞いて、滝口の声が上ずる。

【前回の記事を読む】停止した観覧車内に人工的で奇妙な声が流れた。「君らには時計の針になってもらう…」直後、上の方から金具が揺れる音が響いて!?

次回更新は10月11日(金)、20時の予定です。

 

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