バーバラだ。
汗だくで、首にはタオルをかけている。
まるで工事現場で働いている、おじさんみたいだと果音は思った。
「暑い、暑い。もう汗だくよ。あ、果音ちゃん、いらっしゃい。取材、終わった?」
果音は何ごともなかったように話す。
「バーバラを待っていました! 新聞部のメンバー呼んできますから、どこにも行かないでください!」
「ごめん、ごめん、ハハハハハ……」
汗まみれのバーバラが笑う。
それを見て、祐樹も微笑む。
校庭の木々も木枯らしに吹かれ、すっかり葉を落としてしまった頃、祐樹の実習が終わった。
保健室はまた、以前の保健室に戻った。
女子生徒たちの心にも、ぽかんと穴があいて、冬の風がヒューヒュー吹き込んでいるようだった。
それでもしばらくの間、学校は祐樹の話題で持ちきりだった。
そして、新聞部始まって以来の出来事が起きた。祐樹の写真が欲しいと連日、部室を訪れる女子が現れたのだ。
新コーナーの評判もよく、部数を増やして欲しいとリクエストされることもあった。
祐樹はといえば、何人もの女子に囲まれ涙を流され、「大学を卒業したら、必ずこの学校にきてください!」と何度も言われた。
しかし、彼の希望は男子校である。保健室の仕事は勿論、部活も担当したいと、胸を膨らませているのであった。
バーバラはそんな祐樹を誇らしく思う。そして、心からエールを送った。
頑張れ、馬場先生! いつまでも、あなたは私の宝だ!
【前回の記事を読む】新しい保健の先生は超イケメン! バーバラの過去についても知ってるようで...