第二章 "第2次所得倍増計画"の実施
(3)社会資本の再構築
社会資本の再構築は今後の日本にとって本当に大切なことであり、最近とみに続発している自然災害に対する対応と共に日本の命運を分けるものである。まず、ライフラインについて説明していく。
水、電気、ガス、下水道などの基本的な社会資本は整備されて久しいが、地区によっては老朽化が甚だしく再整備が急務である。これらについては人の命にも直接かかわることであるから行政も民間も対応は義務である。
それはそれとして、社会資本の再構築として真っ先に述べておきたいのは交通体系の再構築である。第1次所得倍増計画において交通体系の柱は新幹線の開発と高速道路の整備であった。それによって国民の移動に革命が起き、物流の根本的な考え方が変わった。
ビジネスで例えれば東京から大阪に出張する時に日帰りでの移動を可能にした。その後、新幹線が全国を網羅するに至って人々の移動に対する機会は格段に上昇し、日本の経済を大きく変えていった。
また高速道路の整備は物流の手段を大きく変えた。かつては鉄道が物流の基本にあって鉄道網が物を運ぶ道筋であったが、高速道路が全国的に整備されることによって自動車が物流の主役となり、トラックやタンクローリーなど大型の輸送車が全国に物を運んだ。これらのことは日本の経済を大きくしていった。
第2次所得倍増計画においては、さらにパワーアップした高速交通体系が必要である。
まずリニアモーターカーの登場である。リニアモーターカーは空気浮上式と磁気浮上式の二種類があり、日本では磁気浮上式を用いて開発中だ。現在2027年を目途に首都圏(品川駅)―中京圏(名古屋駅)間を結ぶ中央新幹線の営業開始運転を目指している。超電導リニアによると品川から名古屋まで40分、もし大阪まで開通すれば67分というから極論すれば通勤圏である。
この効果は東京から大阪まで人口6600万人規模という世界に類例を見ない巨大都市圏の誕生を実現させるという。フランス、ロシア、韓国のGDPを上回るマーケットを有するという。リニアモーターカーは日本の要所を結ぶべきである。北海道の札幌から九州の博多まで日本の背骨を走る。要所の駅から従来の新幹線がさらに人を運ぶ。経済をさらにステップアップさせるためには必須だ。