第一章 行政組織の再編成

(1) 首都の機能を全国の要所に分散 

首都機能移転の議論はたびたび行われてきた。

1990年代には政府も国会も真剣に議論を行ってきた。栃木・福島地域や岐阜・愛知地域、そして三重・畿央地域など、移転候補地も具体的に議論されてきた。総事業14兆円などと試算されたりもした。 

しかし結局、東京都の反対によって議論は雲散霧消してしまった。日本では大きな変革を好まない風潮がある。これでは駄目なのだ。 

いずれ首都直下型地震や東南海地震、南海トラフ地震が東京を襲い、首都機能は一定期間にわたり正常に機能しなくなることは明白である。大地震が起こる前に首都の機能を分散しておくべきである。

そういうことで政府も国会も議論をしてきたわけだから、皆分かっていることなのである。分かっていてやらないという場合に、壊滅的な被害を受ける地震をはじめとした大災害が起きた時の政治的、行政的な責任の所在は明白である。

ここをどう考えるのか。私は、今後の国のあり方として早急に首都の機能を分散するべきだと主張をする。本当に重要なことである。

今こそ国民の生命と財産を守るために決断するべきだ。本当は首都機能の移転先については、一箇所に絞り込みまとめて移転するのが予算面だったり利便性の点で最善なのであろうが、1990年代の議論を振り返ると一箇所に絞り込めなかった。

利益誘導合戦で決められなかったのだ。従って、私は分散という手法で速やかな事業の展開を図るべきだと考える。

これらの政策において数十兆円の事業が行われ、それに関係する民間の事業も膨大に行われるだろう。一時的に民間の企業や団体の設備投資は経営を圧迫するだろうが、経済は循環である。

利潤も循環していずれ経営が圧迫された企業・団体も利益が蓄積されていくだろう。そのような設備投資ができない企業については残念ながら旧来の経営を続けることになる。